税務相談記録 / 2026年5月13日(事実関係追加・3段階数次相続版)

3段階の数次相続における未分割不動産の取扱い
― 母(H18)→父(R3)→兄(R7)の連続相続

母(平成18年)→父(令和3年)→兄(令和7年)の3段階の数次相続。各段階で除斥期間・申告期限・相次相続控除・登記方式が異なり、税務処理・登記処理を相続ごとに切り分ける必要があります。

分野:相続税法・民法・不動産登記法 論点:3段階数次相続・除斥期間・相次相続控除 対象:税理士・司法書士向け

事案の概要(3段階の数次相続)

母・父名義の不動産が母死亡時から登記未了のまま残存。母・父・兄が順次死亡し、現在は妹のみが生存。妹は母の相続人としての地位、父の相続人としての地位、兄の相続人としての地位をすべて兼ねている状態。


平成18年(2006年)死亡
第一次相続:父・兄・妹(父1/2、兄1/4、妹1/4)

令和3年(2021年)死亡
第二次相続:兄・妹(各1/2)

令和7年(2025年)死亡 / 配偶者・子なし
第三次相続:妹のみ
妹(最終相続人・兼相続人)
自己 + 母の相続人 + 父の相続人 + 兄の相続人

キーポイント:3段階の数次相続が連続発生しており、中間相続がすべて共同相続(母→父・兄・妹、父→兄・妹)。各相続段階で除斥期間・申告期限・相次相続控除の取扱いが異なるため、相続を一括せず個別に整理する必要があります。

時系列と税務影響(3段階の整理)

相続 時期 相続人 税務上の状態 対応の方針
第一次
(母)
平成18年
(2006年)
父・兄・妹 除斥期間満了済み(5年/7年) 税務上の追徴リスクなし。当時の基礎控除は5,000万円+1,000万円×3=8,000万円(旧相続税法)。ただし民法上の遺産分割は別問題で、登記未了の状態は残存。
第二次
(父)
令和3年
(2021年)
兄・妹 除斥期間未完成(2027年/2029年まで) 申告期限(2022年)は既に経過。期限後申告が必要。延滞税・無申告加算税のリスクあり。現行基礎控除は3,000万円+600万円×2=4,200万円。財産評価が基礎控除以下なら申告不要。
第三次
(兄)
令和7年
(2025年)
妹のみ 現在進行形(2026年中が期限) 兄死亡日+10か月以内に申告(相続税法第27条第1項)。兄の相続財産には兄固有財産+母由来分(兄1/4×不動産母持分)+父由来分(兄1/2×父持分。父持分は父固有+母から相続した分を含む)が混在。基礎控除は3,000万円+600万円×1=3,600万円
■ 除斥期間(国税通則法第70条)について

相続税の更正・決定は、法定申告期限から原則5年、偽りその他不正の行為がある場合は7年で除斥期間が満了します。単純な無申告は「偽りその他不正の行為」に該当しないとされ(最判平成6年4月26日参照)、原則5年で除斥期間が満了します。

母の相続(2006年)は除斥期間満了済みのため、税務署が賦課処分を行うことは法律上できず、税務上のペナルティリスクは消滅しています。

⚠ 父の相続税申告(期限後申告)の重要性

父の相続税申告期限(2022年中)は既に経過していますが、除斥期間(2027年/2029年)は未完成のため、追徴のリスクが残ります。兄が承継すべきだった申告義務は妹に承継されています(国税通則法第5条)。

税務署の調査前に自主的に期限後申告することで、無申告加算税を最小化(調査前5%、調査後15%以上、国税通則法第66条)できる可能性があります。

クライアントの3つの問い

Q1. 生前に亡兄との協議ができていたかどうかで判断するということ?
No。「生前合意の有無」は決定的な分岐点ではなく、その手前に「兼相続人による一人遺産分割協議そのものの有効性」というより根本的な論点があります。否定説に立てば、生前合意があってもなくても、最終相続人が1人になった以上、遺産分割協議は法的に成立しないという整理になります。生前合意の事実は肯定説に立った場合の補強材料にはなりますが、それだけで肯定説が確定するわけではありません。
Q2. 生前合意が決まっていなかったのに、税制上のメリットだけを取りに行く分割は難しいという認識でOK?
概ねOK。本件のような「数次相続で兼相続人が1人になったケース」で、事後的な一人遺産分割協議で税制メリットを取る処理は、実務見解が分裂しており、税務リスクが残ります。「ひとり遺産分割協議は認められない」とする判例の存在も指摘されています。クライアントの素朴な認識のほうが実務に近い側面があります。
Q3. それも含めて可能?(強引にやれば通る?)
完全に不可能ではないが安全策とは言いがたい。登記が形式審査を通過しても、税務署が「分割協議として無効、よって法定相続分による取得」と認定するリスクは否定できません。「登記が通る ≠ 税務で認められる ≠ 民事上有効」という3レベルの違いを区別する必要があります。

核心の結論(3段階数次相続版)

CORE FINDING

本件は3段階の数次相続(母2006→父2021→兄2025)が連続発生しており、各段階で税務・登記の取扱いを切り分ける必要があります。中間相続がすべて共同相続であるため、登記実務の中間省略は原則認められず、「兼相続人による一人遺産分割協議」も民事・登記・税務の3レベルで見解が分裂します。

母の相続:除斥期間満了済みで税務処理不要。登記のみ要対応。
父の相続:除斥期間未完成。期限後申告が必要(延滞税・加算税リスク)。
兄の相続:申告期限が2026年中。父→兄→妹のラインで相次相続控除が適用可能(経過約4年、控除割合6/10)。

推奨ルート:3段階の連件相続登記(中間相続登記の登録免許税は租特法第84条の2の3により令和9年3月31日まで免税)+父の期限後申告+兄の相続税申告(相次相続控除を適用)が現実的かつ節税効果のあるルートとなります。

3つの判断レベルの違い

「登記が通る」「税務で認められる」「民事上有効」は別の判断軸であり、それぞれの審査基準・主体・帰結が異なります。

民事

民事上の有効性

裁判所が紛争時に判断。「ひとり遺産分割協議」を否定する判例の存在が指摘される。利害関係人から訴訟提起されれば実体無効を主張される余地。

登記

登記実務

登記官は形式的審査主義のもと、申請書・添付情報の形式的整合性のみを審査(不動産登記法第25条)。登記が通っても合法・有効を意味するわけではない。

税務

税務実務

税務署は経済的実質を独自に評価。「分割協議として有効か」「分割の動機が租税回避か」を税務調査で問題視する可能性。

論点A:登記実務 ― 中間省略登記は本件で使えるか

結論:本件では原則として中間省略登記は不可

登記実務における中間省略登記の原則は、「中間相続が単独相続である」場合に限り認められる(昭和30年12月16日付民事甲第2670号民事局長通達)というものです。

本件の構造(3段階すべて中間が共同相続):

  • 第一次相続(母 → 父・兄・妹)は共同相続
  • 第二次相続(父 → 兄・妹)も共同相続
  • 第三次相続(兄 → 妹)のみ単独相続

つまり、第一次・第二次の中間相続がいずれも共同相続であるため、中間省略登記は原則認められない、というのが登記実務の通説です。

実務上の登記方式 ― 3パターンの比較

パターン 内容 登録免許税
A. 3段階連件登記
(推奨)
①母→父・兄・妹(法定相続分)、②父→兄・妹(法定相続分)、③兄→妹(単独相続)の3件を連件申請。各段階を正規に登記。 各回0.4%×3回。ただし租特法第84条の2の3第1項により、被相続人名義への中間相続登記は令和9年(2027年)3月31日まで免税の可能性あり。
B. 236号通達による1件登記 母・父・兄の各相続について、最終的な遺産分割協議結果のみを記載した協議書を作成。妹が「自己+母の相続人+父の相続人+兄の相続人」として全ての地位で署名。1件の登記で妹単独名義に集約。 最終取得分1回(0.4%)。大幅な節税効果あり。ただし兼相続人による単独協議の有効性(後述)に争いがある。
C. 法定相続分+持分移転 法定相続分で各段階の共有登記後、共有物分割や持分移転で集約。煩雑かつ実益が乏しい。 段階に応じて複数回課税。

パターンBは登録免許税を大幅軽減できますが、兼相続人による単独協議書の有効性(次節)に争いがあるため、本件ではパターンA(中間免税の活用)が安全策+節税のバランスが取れたルートとなります。

租特法第84条の2の3 ― 中間相続登記の登録免許税免税

租税特別措置法第84条の2の3第1項は、相続による所有権移転登記において、相続により土地を取得した者が当該登記の前に死亡した場合、その死亡した者を登記名義人とするためにする登記については、令和9年(2027年)3月31日までの間、登録免許税を免税としています。

本件への適用:

  • 母→父・兄・妹の中間相続登記のうち、父(死亡者)名義部分は免税
  • 父→兄・妹の中間相続登記のうち、兄(死亡者)名義部分は免税
  • 最終的に妹に集約される部分のみが課税対象

令和9年3月31日が期限のため、早期着手による節税効果が期待できます。

租税特別措置法 第84条の2の3第1項

登記官の形式的審査主義の正確な理解

不動産登記法第25条は「申請の却下事由」を列挙したもので、形式的審査主義自体の根拠条文ではありません。形式的審査主義は不動産登記法全体の構造から導かれる解釈論です。

登記官の審査範囲は形式的整合性に限られるため、「登記が通る ≠ 民事上有効」「登記が通る ≠ 税務で認められる」という3レベルの違いに留意が必要です。

不動産登記法 第25条
⚠ 仮に兼相続人として一人遺産分割協議書を作成して登記申請しても

登記官の形式的審査を通過する可能性はありますが、登記が通った後に税務署や利害関係人から実体無効を主張されるリスクは残ります

特に本件のように一次相続が共同相続の場合、平成29年237号通達の射程外であり、形式的にも疑義が生じやすい構造です。

論点B:兼相続人による一人遺産分割協議の民事上の有効性

○ 肯定説

  • 兼相続人は複数の地位を有しており、それぞれの地位での意思表示として擬制的に協議可能
  • 亡兄の遺産分割協議当事者の地位は妹に包括承継される(民法第896条)
  • 実体的に他の相続人がいない以上、その1人の意思で財産帰属を決定できる
  • 登記実務上、書面審査が通れば一定の運用は存在

× 否定説(多数説の可能性)

  • 遺産分割協議は「共同相続人間の遺産共有関係の解消」を目的とする手続(民法第906条以下)
  • 兼相続人として最終的に1人になった時点で、遺産共有関係はすでに法律上消滅している
  • その後の「協議書」は協議の対象を欠き、実体としては『単独相続人による単独の意思表示』に過ぎず、遺産分割協議としての効力を持たない
  • 「ひとり遺産分割協議は認められない」とする判例の存在が指摘される(東京高裁・東京地裁判決等)
  • 結果、財産取得は法定相続分での確定取得となる
■ 実務上の見解の分裂

「兼相続人として最終的に1人になった場合に遺産分割協議ができるか」について、司法書士業界・税理士業界の見解は分裂しており、確立した一義的な結論はありません。複数の司法書士事務所サイトが否定説を採用しているのが現状で、「ひとり遺産分割協議」を否定する判例の存在も指摘されています。

論点C:税務実務 ― 1/2持分の計上要否

原則的取扱い ― 未分割時の課税

相続税法第55条本文は、申告書提出時等までに財産が分割されていないときは、未分割財産について各共同相続人が民法の規定による相続分(寄与分を除く)に従って取得したものとして課税価格を計算する旨を定めています。

本件で「兼相続人による一人遺産分割協議」が税務上認められない(または安全策をとる)場合、亡兄は法定相続分1/2に相当する未分割不動産持分を取得していたものとして取り扱われ、亡兄の相続税申告ではその1/2相当を計上する必要があります。

相続税法 第55条 相続税法基本通達 11の2-4

相続税法基本通達19の2-8の射程

同通達は「分割」の意義を定義し、分割方法(現物・代償・換価)や手続(協議・調停・審判)を問わないとしています。ただし、これは「合意の時期を不問とする」根拠として直接機能するものではありません

同通達には但し書きとして「当初の分割により共同相続人に分属した財産を分割のやり直しとして再配分した場合には、その再配分により取得した財産は、同項に規定する分割により取得したものとはならない」とされており、税務上の「分割」概念は実体法より狭く解釈される可能性があります。

相続税法基本通達 19の2-8
⚠ 税務上のリスク(重要)

本件のような「兼相続人として最終的に1人になった者による事後的な一人遺産分割協議」について、税務署が「分割協議として無効、よって法定相続分による取得」と判断するリスクが指摘されています。

円満相続税理士法人等が指摘する「数次相続では遺産分割協議できず特例使えない」のケース(一人っ子の数次相続)は、本件と構造的に類似しており、本件もこの射程に該当する可能性が高いと評価できます。

兄妹間の数次相続を直接対象とした国税庁の質疑応答事例は確認できず、所轄税務署の判断によるリスクが残ります。

申告期限の整理(3段階別)

相続 原則の申告期限 本件の現状
母(2006年) 2007年(死亡+10か月) 除斥期間満了済み。当時基礎控除8,000万円以下なら申告不要。仮に申告義務があっても税務署の賦課処分は不可。
父(2021年) 2022年(死亡+10か月) 既に経過。期限後申告が必要。除斥期間2027年または2029年まで残存。延滞税・無申告加算税のリスクあり。
兄(2025年) 2026年(死亡+10か月) 現在進行形。期限内に申告。父→兄→妹のラインで相次相続控除(相続税法第20条)が適用可能。
相続税法 第27条第1項 国税通則法 第70条(除斥期間) 国税通則法 第66条(無申告加算税)

相次相続控除の適用関係(相続税法第20条)

被相続人が相続開始前10年以内に他の相続で財産を取得し相続税を課税されていた場合、後の相続の相続税から一定額を控除する制度です。

相続のライン 経過年数 適用可否
母→父
(2006→2021)
約15年 適用不可(10年超過)
母→兄
(2006→2025)
約19年 適用不可(10年超過)
父→兄→妹
(2021→2025→2026)
父→兄が約4年 適用可能。控除割合は(10−4)÷10=6/10。兄が父の相続税を課税されるべき状態であれば、その税額の6割相当が、妹の兄相続税申告から控除される(実際に納付済みでなくても適用可。国税庁タックスアンサーNo.4168)。

父の相続税の期限後申告と、兄の相続税申告の相次相続控除をセットで進めることで、税負担を最適化できます。

相続税法 第20条 国税庁 No.4168

実務上の進め方(推奨フロー・3段階数次相続版)

1

各相続の申告状況・財産評価の確認

母(2006年)・父(2021年)の相続税申告履歴を税務署に照会。不動産の固定資産税評価証明書・路線価図を収集し、各時点の評価額を算定。母の相続は基礎控除8,000万円超過の有無、父の相続は基礎控除4,200万円超過の有無を判定。

2

母の相続(2006年):除斥期間満了で税務処理不要

除斥期間が満了しているため、税務署が賦課処分を行うことは法律上できません(国税通則法第70条)。税務上の対応は不要。ただし民法上の遺産分割・登記の処理は別途必要。

3

父の相続(2021年):期限後申告

除斥期間(2027年または2029年)が完成する前に、自主的に期限後申告。基礎控除以下なら申告不要。基礎控除超過なら、税務調査前の自主申告で無申告加算税を5%に抑える(国税通則法第66条)。延滞税にも留意。

4

兄の相続(2025年):相次相続控除を適用した申告

申告期限(2026年中)に間に合うよう申告。兄が父から相続して父の相続税を課税されるべき状態であれば、相次相続控除(相続税法第20条)を適用。経過約4年なので控除割合は6/10。これにより兄の相続税負担を圧縮できる可能性。

5

登記:3段階の連件相続登記(中間相続免税の活用)

母→父・兄・妹/父→兄・妹/兄→妹の3段階を連件で相続登記。租特法第84条の2の3第1項により、被相続人名義への中間相続登記は令和9年(2027年)3月31日まで免税。早期着手で登録免許税を圧縮。

6

例外ルート(236号通達による1件登記)の検討

兼相続人として妹が「自己+母の相続人+父の相続人+兄の相続人」の全地位で署名する1通の遺産分割協議書で1件登記する方法。登録免許税はさらに圧縮可能だが、兼相続人による単独協議の有効性に争いがあるため、管轄法務局への事前相談を必須とする。

7

申告期限・除斥期間の同時管理

兄の相続税申告(2026年中)と父の期限後申告を同時並行で進める。租特法第84条の2の3の免税期限(2027年3月31日)も同時に意識。3つの期限を1つのスケジュール表で管理することが望ましい。

相続登記義務化(2024年4月1日施行)との関係

本件は施行日前開始相続のため、令和9年(2027年)3月31日までに登記申請する義務があると考えられます。

正当な理由なく怠ると10万円以下の過料。3年以内に分割協議が整わない場合は、相続人申告登記で申請義務を履行したものとみなされます。

本件のように相続関係が複雑で、戸籍関係書類等の収集や法的判断に時間を要する場合は「正当な理由」があると認められる可能性があります(法務省Q&A)。

不動産登記法 第76条の2 同 第76条の3 同 第164条第1項 同附則 第5条第6項

補足論点

各時点の基礎控除の比較

相続 適用基礎控除 本件法定相続人 金額
母(2006年)旧相続税法:5,000万円+1,000万円×人数父・兄・妹(3名)8,000万円
父(2021年)現行:3,000万円+600万円×人数兄・妹(2名)4,200万円
兄(2025年)現行:3,000万円+600万円×人数妹(1名)3,600万円

※ 平成27年(2015年)1月1日施行の改正で基礎控除が引き下げられました。母の相続は改正前、父・兄の相続は改正後の基礎控除が適用されます。

民法第904条の3(令和5年施行)の影響

令和5年(2023年)4月1日施行の改正民法第904条の3により、相続開始から10年経過後の遺産分割では、特別受益・寄与分の主張が制限されます

本件への影響:母の相続(2006年)は既に開始から約20年経過、父の相続(2021年)は2031年に10年を迎えます。母の相続については特別受益・寄与分の主張ができず、法定相続分による分割が原則となります(経過措置として、施行日から5年または相続開始から10年のいずれか遅い日まで猶予される場合があるため、適用関係の確認が必要)。

民法 第904条の3

未分割不動産の評価方法

共有持分としての評価ではなく「遺産分割前の相続分」という包括的権利として評価する見解(学説)もありますが、課税実務上は個別の不動産の持分として、財産評価基本通達による不動産全体の評価額に相続分割合を乗じて算出する方法が一般的とされています。

小規模宅地等の特例との関係

兄の相続で小規模宅地等の特例(租税特別措置法第69条の4)を適用したい財産がある場合、未分割では原則として適用できず、3年以内の分割により事後的に適用する取扱いとなります。本件で該当する宅地があるかの確認が必要です。

必要な実数値の収集

具体的な税負担を確定するには以下のデータが必要です:

  • 不動産の固定資産税評価証明書(2006年・2021年・2025年各時点)
  • 路線価図(同上)
  • 不動産登記事項証明書(父母の持分割合の確認)
  • 母・父・兄の死亡当時の金融資産等の財産明細
  • 母・父の相続税申告書の有無(税務署への照会)

連携体制

本件は3段階の数次相続が絡み、民法(数次相続・兼相続人の遺産分割)、不動産登記法(相続登記義務化・中間省略登記・登録免許税免税)、相続税法(除斥期間・期限後申告・相次相続控除)が複雑に絡む事案であり、税理士・司法書士・場合により弁護士の連携による検討が必須と考えられます。

引用した法的根拠一覧

区分条文・通達
民法第882条(相続開始の原因)、第887条(子の相続権)、第889条(兄弟姉妹の相続権)、第890条(配偶者の相続権)、第896条(相続の一般的効力)、第898条(共同相続)、第899条(相続分に応じた承継)、第900条(法定相続分)、第904条の3(令和5年施行:10年経過後の遺産分割の特則)、第906条以下(遺産分割)、第907条(遺産分割協議)、第909条(遺産分割の遡及効)、第1042条(遺留分の帰属及び割合)
相続税法第15条(基礎控除、改正前後の比較)、第20条(相次相続控除)、第22条(評価の原則)、第27条第1項・第2項、第31条(修正申告)、第32条(更正の請求)、第55条(未分割遺産の課税)、第64条(同族会社等の行為又は計算の否認等)
相続税法基本通達11の2-4(未分割遺産の課税)、19の2-8(分割の意義)
国税通則法第5条(相続による国税の納付義務の承継)、第60条(延滞税)、第66条(無申告加算税)、第70条(更正・決定の除斥期間:5年または7年)
不動産登記法第25条(申請の却下事由)、第76条の2(相続登記義務化)、第76条の3(相続人申告登記)、第164条第1項(過料)、附則第5条第6項
租税特別措置法第69条の4(小規模宅地等の特例)、第84条の2の3第1項(中間相続登記の登録免許税免税:令和9年3月31日まで)
登記先例・通達昭和30年12月16日付民事甲第2670号民事局長通達(中間が単独相続の場合の中間省略登記)、平成29年3月30日付法務省民二第237号通達/同第236号通達(数次相続における最終的な遺産分割協議結果のみが記載された協議書による相続登記の柔軟化)
国税庁タックスアンサーNo.4168(相次相続控除)、No.4208(相続財産が分割されていないときの申告)、No.4132(相続人の範囲と法定相続分)
判例最判平成6年4月26日(「偽りその他不正の行為」の解釈、単純無申告は含まれない)、「ひとり遺産分割協議」を否定する東京高裁・東京地裁判決の存在が指摘される(品川大田相続相談センター等が言及)